夢 を 見 すぎ と 笑 われ た 少年 が。 夢 を 見 すぎ と 笑 われ た 少年 が

性が解放されている、というだけのシンプルな世界に生きることと、ろくに知りもしない他人の不倫報道に怒り狂ってネットで叩く人間に溢れた世界と、果たしてどちらが「異常」なのか。

少年はそれを絶えず石鹸の香りをぷんぷんさせてゐる、おしやれな父親のにほひに思ひくらべた。

これもうすずとニノ曲先輩で祭里取り合うしかないじゃん。

やったぜ。

黄金に再び闘いを挑む青銅一軍。

怒涛の一年が終わってしまいました。

だが、もう呼吸する空気は尽きてゐるのに、私は死ねない。

…… この詩を読んだとき青年は、この非情な詩の響きに驚くよりも先に、これは往年の少年自身の忘れてゐた歌声ではあるまいかと、むしろそれに愕然としたほどである。

だが少年の記憶には、そんな疑問はもとより、好奇心の発現すら、跡をとどめてゐない。

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少年は甘えたかつた。

本当にありがとうございました。

青い小函を握りしめた指が、わなわなと顫へてゐた。

ああこの古びたる鞄をさげてよろめけども われは瘠犬のごとくして憫れむ人もあらじや。

そして、如何に母や父の前で平気を装ふかといふことよりも、むしろあんまり平気な顔をしてゐて、却つて自分の思ひあがりやうを見破られはしまいかと、その方のことを内心警戒してゐる有様だつた。

「偉かつた、偉かつた」と父は言つた。

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